Next Nine 保有機材紹介、実際のRF修理事例と生産ライン実務に基づくスペクトラムアナライザ2台運用の必要性
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Next Nineに持ち込まれるRF機器の修理依頼の多くは、電源は入り基本動作はしているものの、以前と比べて性能が落ちたという内容です。出力が弱くなったり、通信距離が短くなったり、特定の環境下で不安定になるケースがよく見られます。これらの症状の多くは、電波特性がわずかにズレた状態で発生しています。
最近対応した修理案件の一つでは、送信出力自体は規定範囲内で測定されていたにもかかわらず、実運用時に隣接チャネルへの干渉が発生していました。単純な出力測定では異常は見られませんでしたが、スペクトラムアナライザで確認したところ、中心周波数が基準値から外れ、サイド成分が明らかに増加している状態でした。
最初の測定ではスペクトラムアナライザ1台のみを使用していたため、その測定結果が修理対象機器の問題なのか、測定器側の基準誤差なのか判断が難しい状況でした。そこで2台目のスペクトラムアナライザを用いて同条件で再測定を行い、両方の機器で同じ周波数のズレとスプリアスの増加が確認できました。この時点で電波特性が実際にズレていると判断しました。
原因は送信部増幅段付近の部品劣化とフィルタの整合不良でした。該当部品を交換した後、再度測定を行い、修理前後のスペクトラムを2台の分析器で比較しました。中心周波数は基準値に戻り、帯域幅も正常範囲となり、不要なサイド成分も大きく低減していることを確認できました。
またNext Nineでは、修理現場だけでなく生産ラインでの実務経験をベースにスペクトラムアナライザを多用してきました。特にスマートフォンの初期生産ラインにおいては、スペクトラムアナライザは欠かせない測定器でした。量産初期段階では、周波数ズレや不要輻射、ライン設備の微調整が頻繁に発生するため、スペクトラムによる確認とライン修正を繰り返し行っていました。
スマートフォン初期生産では、わずかな周波数偏移やノイズ増加が歩留まり低下に直結します。そのため、スペクトラムアナライザを用いて周波数精度、出力安定性、スプリアスの有無を確認しながら、生産ライン自体の修理や調整を行ってきました。この経験が現在のRF修理業務にもそのまま活かされています。
別の修理事例では、温度変化によって出力が変動する症状がありました。初期測定では問題がないように見えましたが、一定時間動作させた後にスペクトラムを確認すると、周波数が徐々に移動していく現象が見られました。2台のスペクトラムアナライザを用いて長時間測定を行い、同じ変化を確認したことで、発熱による基準オシレータの安定性問題へと原因を絞り込むことができました。
このように実際の修理現場や生産ラインでは、明確に大きくズレているケースよりも、判断が難しい微妙なズレの状態が圧倒的に多く存在します。そのため、スペクトラムアナライザ2台を用いた相互検証は不可欠です。数値として確認できていない状態は、将来的に再び問題を引き起こす可能性が高いためです。
Next Nineがスペクトラムアナライザを2台保有し運用している理由は、修理現場だけでなくスマートフォン初期生産ラインで培った実務経験に基づく判断です。感覚ではなく測定を基準とし、同じ結果を再現できる状態を作ることを最優先にしています。
今後もNext Nineは、生産ラインと修理現場の両方で培った経験を活かし、電波特性を一つ一つ確認しながら、信頼性の高いRF修理を継続していきます。






