iPhone XR バッテリー膨張によるディスプレイ浮き・湾曲復元修理記録
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受付時の状態診断
入庫機種は iPhone XR。
外観確認時に見られた症状は以下の通り。
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バッテリー膨張によるディスプレイの浮き上がり
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右側フレームと液晶の間に約3〜4mmの隙間
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パネル全体に軽度の湾曲変形
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タッチ操作は正常
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Face ID正常認識
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バッテリー劣化および内部圧力上昇が推測される状態
リチウムイオン電池の膨張は、セル内部でガスが発生し圧力が上昇する現象である。放置した場合、
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ディスプレイ破損
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フレックスケーブル断線
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最悪の場合、発煙・発火
といった重大な二次被害につながる可能性がある。
安全確保のため、即時電源遮断後に分解作業へ移行した。
2. 分解前準備
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完全電源オフ確認
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下部ペンタローブネジ取り外し
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低温加熱パッドで周囲接着を軟化
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吸着ツールで慎重にディスプレイを開放
※膨張バッテリーは内部圧力が高いため、過度な力は厳禁。
3. 内部状態確認
分解後の内部状況:
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バッテリー中央部が顕著に膨張
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上部からディスプレイを強く押し上げた痕跡
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バックプレートに軽度の変形
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防水シール完全剥離
幸い、ロジックボードの湾曲やショート痕は確認されなかった。
4. バッテリー取り外し
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バッテリーコネクタ切り離し
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ディスプレイケーブル分離
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既存接着テープ除去
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膨張バッテリーを慎重に取り外し
膨張により接着圧が強くなっていたため、無理な引き抜きは避け、イソプロピルアルコールを微量浸透させ安全に分離。
最重要ポイントは セル損傷を防ぐこと。損傷時は発熱・発火リスクがある。
5. ディスプレイ湾曲復元作業
状態評価
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LCD構造のため復元可能性あり
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バックライト層に損傷なし
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表面ガラスに軽度変形
復元方法
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平坦化ジグ使用
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低圧熱処理で応力緩和
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段階的圧力調整
新品同等までは不可能だが、外観上は約90%以上改善。
フレーム密着精度は正常範囲まで回復。
6. 新品バッテリー装着
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純正同等容量セル使用
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新規接着テープ施工
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コネクタ接続確認
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仮組み後通電テスト実施
動作確認結果
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正常起動
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タッチ正常
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Face ID正常
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True Tone維持
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異常発熱なし
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バッテリー認識正常
7. 最終組み立て
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新規防水シール施工
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ディスプレイ精密圧着
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下部ネジ固定
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外観最終チェック
フレームとパネル間の隙間は完全解消。
浮き上がり症状は改善。
総括
本件は単なるバッテリー交換ではなく、
膨張による二次変形復元を伴う高難度修理案件であった。
ディスプレイ内部破損がなかったため交換不要で完了。
早期対応でコスト増大を回避できた事例である。
バッテリー膨張は初期段階での対応が重要。
わずかな浮きでも速やかな点検を推奨する。






